東京都大田区蒲田5丁目40-7 大塚ビル401 蒲田クリニック・訪問看護ステーション

蒲田クリニック・訪問看護ステーション緩和ケアについて

緩和ケア、医療用麻薬、延命処置をしないことに対する誤解を解く
(患者本人、ご家族に理解していただきたいこと)

1.人は必ず、その時を迎えるし、心の中で否定をしながら、恐怖を持ちながら、仕方なしにその時を迎えている。少なくとも苦しくないように、つらくないようにという思いは患者さんご本人も、それを支えるご家族も思っている。

人間の一生は、この世に生を受けてから、最後のその時が来るまで、それぞれの人生を精一杯歩みながら、様々な形での最後を迎えることとなります。それは、人間であれば避けることができないことです。もちろん1人だけで生きてきたわけでなく、その人の人生には、家族、親戚、友人、仕事仲間など、いろいろな思いを持った人たちが関わっている。その人達は、その患者さんには亡くなってもらいたくないという思い、現実的には避けられないものの、亡くなることを認めたくない、認められない人たちがいることは事実です。しかし、その時の状況を決めるのは、それを取り巻く人たちではなく、ご本人の意思が尊重されなければなりません。ただ、それはご本人の恐怖感が高まっている直前ではなく、心の余裕がある程度あって、将来起こりうるつらい状況に対しても、ある程度、少しでも冷静に考えられるときに、患者さんご本人の自分の意思に従って、その時の医療が、ケアが決められるべきであると思います。
ご家族には自分にもその時が、その状況が来ることを前提に考えてもらいたいと思いますが、患者さんご本人にはつらい情報であっても、その内容を極度に修飾したりして、それがある程度正確に伝わることを妨げないでいただきたいと思ってます。

2.医療では、苦痛緩和であっても、命を縮めることは決して行いません。

医療倫理として、医師は、患者さんに対して苦痛を与えることは当院では許されることではないことは当然であり、ましてや命を縮めるような医療行為は法律的にも許されません。苦痛を和らげるために、命を縮めることが、仕方ないこととして、行われてしまったことは比較的少なくない現実があり、それを行ってしまった人には情状酌量が適応されたとしても、結果的に法律的に罰せられることとなる。
医師が命を縮める行為は絶対にしないということを信じていただきたい。

上記を踏まえて以下の質問に対しての誤解を紐解いていきたい。

緩和ケアについてのQ&A

緩和ケアは、その時を迎える患者さんに対して、何もしない消極的な医療ということですか?

緩和ケアは、がん患者さんに対して、それ以外の病気の根本的な治療ができないと判断された患者さんに行う医療、ケアであり、消極的というよりも、苦痛緩和に関しては積極的に行う医療、ケアです。命の長さを調節する医療ではありません。無理をして延命措置することは行わないし、ましてや命を短くすることは決して行いません。そして、緩和ケアは病気の最後の最後に行われる医療、ケアではなく、病気の早期からでも苦痛の緩和について、病気の治療とともに行われるものです。緩和ケアを主治医から勧められたから、もう終わりだという考えは持たないでよいと思います。緩和ケアの苦痛緩和は病気の治療中からも行われることは知っておいていただきたいと思います。可能な限り、やり残したこと、思い残したことがないよう、身辺整理ができるようになればと考えていますが、心理的なサポートを行ってまいります。

医療用麻薬性鎮痛薬は、命を縮まる可能性がありますか?

麻薬は命を縮めるのでは、中毒になるのでは、などという誤った情報を信じている患者さん、ご家族に、最近でも出会うことが多いと感じています。もちろん薬は常容量を超えた過量投与が行われれば、どんな薬であっても、時に命を脅かすことがあります。麻薬は医療用麻薬の場合には、痛みに使用する量は、呼吸抑制が起こる量よりもはるかに少なく、専門家の指示に従えば、危険な薬ではないことが科学的に証明されています。
痛み、息苦しさなどがん患者さんの症状緩和を目的として使用する限り、中毒になることはないことも科学的に証明されています。中毒になる麻薬は、気持ちがよくなるからなどの社会的にも誤った使い方をされたことが事件となって、そのような偏見がもたれるようになったと考えられています。痛みの治療、特にがんの強い痛みに対しては、医療用麻薬は絶対的な適応となることが多くみられます。実際の説明は、医師、薬剤師、看護師によって事前に説明が行われます。医療用麻薬の使用をためらって、痛みに苦しむことがないよう、ご家族も正しい知識を身に着けてください。不安、心配なことは必ずご説明いたします。
事前の説明の中には、医療用の麻薬には、初期のころの眠気、吐き気が出る可能性があり、初期のころの1週間程度は予防的に吐き気止めを使用することを説明いたします。眠気に関しては、現在、眠気覚ましとして効果の強い薬剤はほとんどありませんが、慣れてくる1-2週後には少なくなってくることが多くみられます。便秘は必発と考えていただいた方がよいと思いますが、定期的な緩下剤の服用で調節できることが多くみられます。私の患者さんの中で、医療用麻薬を服用して痛みがとれたので、普通に会社通いができるようになった方も多くみられます。ただし、車の運転は絶対禁止とさせていただいています。医療用麻薬を服用して交通事故が起こった際には、因果関係の否定できませんので、絶対禁止とさせていただいています。

延命措置をしないということは、治療を何もしないということですか?

がん患者さんの最後の時に、心臓マッサージ、人工呼吸器管理をしないなど、延命措置を行わない約束を医療者とかわすことが、緩和ケアのかかわりの中で重要とされていますし、ご本人の意思が確認できる時点で、気持ちをお伺いして了承のサインをいただいています。だからといって、その後、何も対応しないということではなく、痛みや呼吸苦、そのほかの苦痛に関してはむしろ積極的に対応していきます。治療の焦点ががんの治療から、つらさの治療に変わっていくのです。 我々は、家族間の人生会議を推奨しています。英語では、Advance Care Planning (ACP)とよばれ、米国から導入されてきた考え方です。を推進しています (厚労省ホームページ参照)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html
家族間でその時のことも考え、自分がこうなったらこうしてくれ、などの話合いを事前に家族としておくことにより、ご自分の意思表示ができなくなった場合にご自分の意思が尊重されるということになります。

食べたくないときに、家族の方から食べないと命が縮まるとプレッシャーがかかってしまいます。どうすればよいですか?

周りの方々から、自分が食べられないのに、食べなければいけないといわれることは、よくあることです。家族の患者本人に対する愛情だと思われます。でも、家族の方々は、食べられないときに食べなければというプレッシャーをかけられる患者本人の気持ちにそって考えてもらいたいと思います。かえって食べられなくなってしまうこともあります。1度の多くの量が食べられない場合には、1日に4-5回に分けて、食べられるものを少しずつ食べることで、食べられない不安を和らげることができます。栄養、点滴の適応を考える場合もあるのですが、がんが進行してくると、点滴などの水分の負荷が胸水、腹水、下肢のむくみ、痰の増加になったりして、水分を点滴で強制的に入れる意味がなくなってしまいます、いずれも身になるどころか苦しみを増してしまう場合には、点滴も減量、中止をした方がよいと思います。

蒲田クリニック
緩和ケアの特徴

  • 緩和ケアに精通した医師による医療体制が整っています。
  • 訪問看護ステーションを併設しており、医師と看護師が密に連携を取って対応できる体制が整っています。
  • 24時間365日 医師、看護師と連絡が取れ、緊急訪問できる体制が整っています。
  • 医師、看護師だけでなく患者さんやご家族を支援できる多職種が揃っています。
医師

チームのまとめ役、つらくないようにするための緩和ケアを提供します。

看護師

医師と協力してつらい症状を緩和するための医療・ケアを提供します。
在宅で日常生活を送るための環境を整えます。

理学療法士・作業療法士

日常生活動作の支援、マッサージによる疼痛緩和、楽な動作やポジショニングの提案をします。

言語聴覚士・栄養士

患者さんの飲み込み機能に合った食事形態を提案します。
最期まで“食べたい”気持ちを大切にします。

心理士

つらい気持ちに寄り添います。

医療事務

医療費の相談をお受けすることができます。

在宅で過ごしたいがん患者さんとご家族を
笑顔、優しさ、思いやりで支えます
ぜひ我々に在宅療養のお手伝いをさせてください

*蒲田クリニックでは、院長の下山直人医師が、緩和ケア関連のメール相談をお受けしております。

*緩和ケア外来、相談外来の開設(2023年9月より開始)*

  1. 相談内容:
    1. ①不安の軽減:緩和ケアに関するご本人およびご家族の不安にお答えする
    2. ②身体的苦痛の軽減(痛み、呼吸苦、その他の苦痛)、時に主治医の了承の元
       麻薬性鎮痛薬の処方もいたします
    3. ③がんの説明いわゆる告知のお手伝い(主治医との相談により)
    4. ④その他の施設との連携(緩和ケア病棟の紹介、一般病棟への紹介、医療連携)
  2. 時・場所:
    毎週金曜日の夕方頃(16時から30分ずつ、1日2人まで)
    (完全予約制で、事前に予約を入れてください)
  3. Web診療も検討中です
・9月1日付で、緩和ケア外来、緩和ケア相談外来を開設しました。
 がんの痛みの治療、そのほかの苦痛の緩和に対して、お話を聞いたうえで、薬物療法を行っていきます。
・また、順天堂大学病院ペインクリニック科、癌研有明病院緩和医療科との連携において、高度な技術を要する神経ブロック療法に関するご相談、ご紹介も受け付けています。
・そして、身体的な苦痛だけでなく、種々の不安などの精神的な苦痛に対しても、可能な限り対応していくことを目標としています。時に医療連携を介してしかるべき病院外来への紹介もいたします。
 どうぞご利用ください。

〒144-0052
東京都大田区蒲田5丁目40-7 大塚ビル401
JR蒲田駅東口徒歩3分
院長  :下山 直人
診療科目:内科、外科、循環器科、神経内科、
脳神経外科、リハビリ科、緩和ケア科、精神科
E-Mail:
03-3737-6221
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